リーフに搭載したリチウムイオンバッテリーから、一般住宅に電力供給するシステム

出典 日経ビジネス クルマでご飯を炊く日
加藤 修平 、 広岡 延隆  
2011年8月17日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110810/222034/?P=2
日産はリーフに搭載したリチウムイオンバッテリーから、一般住宅に電力供給する
システムを開発した。2012年3月までに発売する計画だ。

 冒頭に出てきた箱形の機械は「PCS」と呼ぶ電力制御装置。リーフの電池から放
出される直流電流を家庭で利用できる交流に変換する。

 給電システムの出力は6kW(キロワット)で冷蔵庫や照明、テレビ、エアコン、
炊飯器、電子レンジ、パソコンを同時に使える。もし停電が起きても、一般家庭の
普通の使い方なら丸2日間は電気が利用可能だ。既に発売済みのリーフも、販売店
に持ち込んで30分ほどかけてプログラムを書き換えれば、給電機能を追加できるよ
うにするという。

重さ1トンを超える自動車を動かすバッテリーを有効活用できるようになれば、メ
リットは大きい。例えば、東日本大震災で続いた各地の停電は、EVが持つ電源とし
ての価値を浮き彫りにした。

 三菱自が被災地の応援用として約90台のアイ・ミーブを東北地方に送ったところ
、「電気の確保に悩む医療関係者などから、EVの電気を取り出したいと言われた」
(益子社長)。EVが積む高機能なバッテリーが、電力をためておく宝箱に見えたと
いうことだ。

 EVからの給電は、停電の時に役立つだけではない。例えば、三菱自は給電機能を
、年内に発売する商用車のEV「ミニキャブ・ミーブ」にも搭載することを検討中だ
。移動する商用車が電源としても使えるようになれば、屋外でも電子レンジを使っ
て温かい弁当を提供するといったサービスもできるようになる。

 日産の渡部執行役員は「もうクルマを単にクルマとして売る時代ではないという
こと」と説明する。日産は今回、積水ハウスのモデル住宅に電力供給システムを組
み込んだ。